世界一わかりやすい肛門の教科書 ②ヒトはなぜ痔になるのか
川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニックです。
本日は、「ヒトはなぜ痔になるのか?」についてお話ししたいと思います。
ヒトが痔になる原因は、実は二足歩行が大きく影響しています。
人間は他の動物と違って、立って歩く「二足歩行」をしますよね。
この姿勢にはメリットもたくさんありますが、その一方で、いぼ痔になりやすい原因も生まれています。
二足歩行が引き起こす3つのポイント
① 重力の影響がかかりやすい
私たちは立ち上がって歩くため、お腹から下に重力がかかりやすくなります。特に肛門のまわりには血管がたくさん集まっていて、そこに血が溜まりやすくなります。この血の滞りが、いぼ痔を引き起こす原因のひとつです。
② 骨盤や肛門まわりに負担がかかりやすい
私たちは、日中は仕事や勉強などに追われて日々を過ごしています。長い時間立ったままでいたり、座ったままでいると、骨盤や肛門周りにずっと負担がかかった状態になります。これもいぼ痔になりやすい要因のひとつです。私たちが椅子に座る時間が長くなれば長くなるほど、肛門周辺の血流は悪くなり、いぼ痔などの原因につながります。
③ 便秘やいきみが関係する
立っていることで、腸にも負担がかかります。お腹の下方にある骨盤内の直腸には圧がかかるため、直腸内に便溜まりやすくなります。そのため、四つ足の動物に比べて二足歩行の人間は便秘になりやすいです。便秘が続くと、トイレで「いきむ」回数が増えてしまいます。強くいきむと、肛門周りの血管にさらに負担がかかり、いぼ痔になりやすくなります。
どうやって予防すればいいの?
日常生活でちょっと意識するだけで、いぼ痔は予防しやすくなります。
① 姿勢をこまめに変える
長時間の立ちっぱなしや座りっぱなしは避けて、こまめに動くことが大切です。1時間に一度は立ち上がり、トイレに行くなどして軽く歩いたりして、血の巡りを良くしましょう。
② 便秘を防ぐ
食物繊維が豊富な野菜や水分を意識して摂り、便を柔らかく保つことは大切です。便秘が解消するといきむ回数が減り、肛門への負担も軽くなります。
③ トイレの時間を短くする
スマホや雑誌を持ち込むのはやめて、スムーズに排便を終える習慣をつけるといいでしょう。トイレに入ってから頑張るのではなく、便意を催してからトイレに行って5分以内に済ませましょう。長い時間いきむことは、肛門に大きな負担がかかります。
痔核(いぼ痔)とは
いぼ痔原因について分かったところで、今一度、いぼ痔について復習しておきましょう。
痔核(いぼ痔)は、過度のいきみなどにより肛門の血行が悪くなり、一部がうっ血して腫れている状態です。
肛門の内側が腫れているものを内痔核、外側が腫れているものを外痔核と呼びます。
内痔核は通常は肛門の内側にあり痛みを起こすことはありませんが、進行すると排便時の圧力などで外側に脱出し、痛みを伴うこともあります。
外痔核は強い痛みが出やすい傾向があり、自身でも膨らみとして触れることがあります。
外痔核の中でも血栓性外痔核は、血の塊(血栓)ができて、肛門の縁のところにふくらみができます。
突然にできて、数日のうちに膨らみがピークを迎えます。座ったり、おしりの負荷がかかると痛みを感じます。ピーク時はまっすぐ座っているのがきつくなります。
小さく柔らかいものは数日で消失しますが、大きく硬いものは治るのに2週間から1、2か月かかるものまであります。ただ、痛みがあったとしても、1週間以内には痛みはなくなります。
いぼ痔はほっといてもいいの?
「いぼ痔は放置しておいて大丈夫なのでしょうか?」
よくある質問です。
いぼ痔は放置しておくと、大きくなったり、出血しやすくなることがあります。
大きくなって脱出症状が強くなってきたり、出血が落ち着かない場合は手術が必要になります。
また、手術治療になる場合も、痔の大きさは小さい方が侵襲が小さくなり、合併症が起きにくくなります。
肛門に気になる症状がある場合はしっかりと肛門専門医に診察してもらいましょう。
軟膏治療で十分な場合もあれば、手術しか手がない場合もあります。手術しかないのであれば、さらに悪化する前に早期に手術を受けた方がいいです。
川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニックは川崎駅から徒歩4分の通院しやすい立地にあります。
肛門鏡や肛門エコーなどの先進機器を備えており、肛門専門医の診察を受けることが出来る数少ない施設の一つになります。
多くの肛門疾患に対して日帰り手術も実施しており、手術治療も含めた治療方針を相談することが可能です。
最後に
二足歩行で立って生活する私たちにとって、いぼ痔はある意味「仕方のない」ことともいえますが、日々の生活でちょっと気を付けることで予防することができます。
少しの工夫で、いぼ痔の悩みを少しでも減らしていきましょう。
また、もしいぼ痔になっても早期に治療開始することで、手術や慢性化を防ぐことは可能になります。
おしりに不安を覚えた場合は、すぐに大腸肛門病専門医のいるクリニックを受診しましょう。
肛門診療について詳しくは → https://www.kawasaki-naishikyo.com/proctology/