過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群の症状
便秘や下痢などの便通異常や断続的な腹痛などの症状が長い間継続したり、便秘と下痢を順番に何度も発症したりします。便を出すと痛みが改善する場合が多く、寝ている時には症状が出現しません。また、ガスが何度も出る、お腹が張る、お腹の音が聞こえる、などの症状が認められる場合があります。
過敏性腸症候群のタイプ
過敏性腸症候群は交代型、便秘型、下痢型の3種類に大きく分類できます。
下痢型
ひどいお腹の痛みと一緒に水様便が1日に何回も認められます。家の外に出る気が削がれるほど症状が強く出ることもあります。
便秘型
排便時にお腹の痛みを感じ、お腹に強い力をいれなければ排便できなくなり、排便できたとしてもウサギの糞のようなコロコロした便しか出ず、残便感を感じる場合があります。
交代型
ひどいお腹の痛みに伴って、便秘と下痢を繰り返します。
過敏性腸症候群の原因
明確な要因は特定できていませんが、腸内細菌叢の変化や過度な緊張、ストレスなどが関与していると言われています。また、遺伝や粘膜の炎症なども関わっていると考えられています。
過敏性腸症候群の検査方法
はじめに、問診にて症状を細かくお聞きいたします。
その後検査によって、過敏性腸症候群と同様の症状が現れる甲状腺機能亢進症や大腸がんなどの他の病気の有無を確認します。
検査は便潜血検査、尿検査、血液検査などを行いますが、以下に当てはまる方は大腸カメラ検査を受けましょう。
- 直腸から血が出る
- 発熱がある
- 3kgを超える体重減少
- 50歳を超えてはじめて発症した
大腸カメラ検査を実施して、腸に問題がないことをチェックしなければ、過敏性腸症候群とは診断できません。
何も問題がないことを確認することも非常に大切なことです。当院は大腸カメラ検査に対応しており、専門医が的確な検査を行いますのでお気軽にご相談ください。
診断について
過敏性腸症候群を発症しても、数字で判定できる血液検査では異常などは認められないので、以下のような手法で診断します。
はじめに、症状の内容や出現時期、増悪させる因子など細かくお聞きいたします。そして、便培養検査や便潜血検査、血液検査などを実施し、がんや潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患などのリスクを確かめます。
さらに詳しい検査が必要な場合は、注腸レントゲン検査や大腸カメラ検査などを実施します。
このように問診や複数の検査を行い、潰瘍性大腸炎や大腸がんではないと判断できれば、過敏性腸症候群の診断基準に則って診断を確定いたします。
過敏性腸症候群の治療について
過敏性腸症候群の治療では、生活習慣の見直しと薬物療法を実施します。
生活習慣の見直し
日常的な生活環境をお聞きして、過度なストレスや疲労、睡眠を十分にとれていないなど、悪化させる要因が認められる場合、改善方法について助言いたします。また、香辛料を含む刺激物を食べたりお酒を飲み過ぎたりすると症状が悪くなる危険性があるため、控えることをお勧めします。
薬物療法
患者様の病状に合わせて、腸内細菌叢を整備するお薬、便の硬さをコントロールするお薬、腸の機能をコントロールするお薬などを的確に使用します。
過敏性腸症候群のお薬
過敏性腸症候群のお薬には、コロネルやイリボーなどの数種類のお薬が挙げられます。約2週間お飲み頂き、個々の有効性をチェックした上で、どのお薬が患者様にとって一番適しているかを確認します。お薬によって飲み方が違い、社会人の方だとお薬を1日3回も飲むのは難しいと思いますので、1日1回の服用で十分なお薬にするなど、患者様の生活環境なども踏まえて最も合うお薬を提案いたします。
過敏性腸症候群を悪化させないために
過敏性腸症候群の増悪を予防して健全な身体機能を維持するために、食生活の改善や適度な運動、睡眠不足の改善に取り組みましょう。
食生活の改善
忘れずに朝ご飯を食べたり、食物繊維が豊富な食料品を意識して摂取したり、お酒を避けたりするなど、日々の食生活を改善しましょう。なかでもアルコール摂取量が多い方は、焼酎はお湯割り1杯、ウイスキーはダブル、ビール中瓶(500ml)は1~2本などに抑えてください。
適度な運動を取り入れましょう
程良い運動はリラックス効果が見込めるため、日頃あまり運動しない方はウォーキングや軽い体操、ストレッチなど、日々継続できる程度の運動を行うようにしましょう。
睡眠不足を解消しましょう
8時間が望ましい睡眠時間だと考えられていますが、現代では8時間もの睡眠時間は確保できない可能性が高いと思われます。少なくとも6時間は寝るようにしましょう。