MEDICAL 胃炎

胃炎について

胃炎

胃は、胃壁から強酸性の胃酸を分泌することで食物を消化しています。胃酸はpH12の塩酸なので、消化以外にも微生物や細菌を倒す殺菌作用もあります。このような強酸でも胃壁は消化されない理由は、胃の粘液によって胃酸が胃壁に接しないように守っているためです。また、胃粘膜には損傷部を治す機能もあります。
胃は多様な温度、刺激、味のある飲食物に対して機能しています。しかし、その機能が限界を迎えると、胃粘液による防御システムでは不十分となり、炎症が発生する場合もあります。また、ストレスがあると胃が痛む、胃が縮むなど、精神状態と胃には関連性があると以前より言われており、ストレスなどが影響して防御システムが適切に機能せず、胃の痛みを感じることもあります。
早期の胃炎では、びらんという胃粘膜の表面がただれる状態になり、増悪すると胃粘膜を治す力が弱まっていきます。粘液が減る影響で、胃酸が胃粘膜と接することで自己消化が起こり、胃潰瘍に繋がります。

胃炎の症状

胃炎で現れる症状と他の胃疾患で認められる症状は同様であることが多いです。そのため、重大な疾患によるものでないか鑑別するために、適切な検査を受けて頂くことが重要です。

急性胃炎

突然、症状が現れるのが特徴です。下血、吐血、胸焼け、心窩部痛、不快感、お腹の張り、胃痛、吐き気、嘔吐などが認められます。

慢性胃炎

主な症状には、胃もたれ食欲低下、食後のむかつき、空腹時の胸焼けなどがありますが、無症状の方もいらっしゃいます。

胃炎の原因

急性と慢性は、それぞれ異なった原因や症状があります。

急性胃炎

主な原因は、食べ過ぎや飲み過ぎ、中でもお酒の過剰摂取が挙げられます。他には、唐辛子などの刺激物の過剰摂取、ストレス、お薬の影響などが挙げられます。

慢性胃炎

原因の大半は、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)と呼ばれる細菌の感染です。強酸である胃酸の中でもピロリ菌は生息でき、胃に感染して慢性炎症を起こします。また、ピロリ菌の感染によって胃粘膜が萎縮してしまい、感染していない方に比べて胃がん10倍以上発症しやすくなると言われています。
ピロリ菌は井戸水や人から人に口を介して感染することが多く、5歳になるまでに感染すると言われています。先進国の中で、日本人の感染者は非常に多いですが、若い方の感染者数は減ってきています。また、ピロリ菌は除菌治療を行えば除去できます。

胃炎の診断・検査

急性胃炎

問診にてどれほど痛いかなどの症状や、口にした飲食物や飲んでいるお薬などに関して詳細にお話をお聞きします。
そこから、内視鏡検査で胃粘膜を目視で観察し、胃粘膜の腫脹やびらん、毛細血管の一過性の広がりによる発赤などをチェックします。

慢性胃炎

診断するには内視鏡検査が必須です。慢性胃炎の状態をチェックし、悪化していると胃粘膜の萎縮や分厚くなる肥厚が認められます。より一層萎縮していくと、胃壁が薄くなって血管が透けて見え始め、萎縮性胃炎となります。一度胃粘膜が萎縮すると再生せず、胃がんになる可能性もあるので、胃炎は早いうちに適切な治療を受けることが大切です。
急性・慢性に限らず、生活習慣の見直しや原因への対策、薬物療法などによって胃炎を治します。

胃炎の治療

薬物療法

胃の運動機能促進薬、胃粘膜保護薬、胃酸分泌抑制薬などを用いて、各々数種類のお薬の中から体質や症状に応じて最適なものを選びます。胃炎の症状に対して市販薬を使う方も多いですが、胃がんや胃潰瘍でも同様の症状が認められるので、重大な疾患を見つけ出すためにも専門医にご相談ください。

ピロリ菌除去治療

慢性胃炎の場合、ピロリ菌に感染していないかどうかチェックし、感染が認められた方には除菌治療をお勧めします。内視鏡検査を実施する際にピロリ菌検査をします。除菌治療は抗菌薬と胃酸の分泌量を減らすお薬を1週間お飲み頂くのみです。しかし、除菌治療は必ず成功するわけではなく、検査を少なくとも6週間経ってから行い、除菌できなかった場合にはお薬の内容を変更して2回目の除菌治療も行えます。除菌治療を2回行えば、大半の場合ピロリ菌除菌に成功します。

生活習慣の改善

胃酸の分泌量を増やすような飲食物も控えることも大切です。脂肪分が多い食事や香辛料などの強い刺激物、紅茶、濃い緑茶、コーヒーなどは避けましょう。暴食やお酒の飲み過ぎも控えてください。
また、十分な睡眠や休憩、規則正しい生活を心掛け、ストレスを溜めないようにしましょう。

 

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